COLUMN

2025.01.16

電子カルテの耐用年数は何年?更新にかかる費用は?

電子カルテの耐用年数は何年か知っていますか?
電子カルテには5年の耐用年数(ソフトウエア)が定められており、耐用年数に合わせて定期的にシステムを新しいものに更新したり、買い替えたりすることが推奨されています。

本記事では、そもそも電子カルテの「耐用年数」とは何か?電子カルテを更新するにはどのくらいの費用がかかるのか?
安心で安全な医療サービスを提供するために必要なこれらの知識について、徹底的に解説します。
さらに、運営コスト削減に役立つ減価償却についても解説しますので、ぜひ併せてご確認ください。

減価償却と耐用年数

電子カルテには耐用年数が定められており、この年数を目安にシステムの更新が推奨されます。
耐用年数を過ぎてしまった電子カルテはシステムの故障や不具合が起こりやすく、病院の運営に支障をきたす可能性があります。
また、メンテナンスコストが増大してしまったり、セキュリティリスクが増加してしまったりなどの恐れもあります。

電子カルテの機能を正常に保ち、安全な医療サービスの提供を続けていくためには、耐用年数に合わせて、計画的に最新のシステムへの移行を進めることが必要です。
具体的には、電子カルテの更新や買い替え、リース契約の更新などが求められます。

耐用年数と併せて「減価償却」の仕組みを理解することで、税務上のメリットを活かしたコスト削減が可能です。

減価償却とは

はじめに、減価償却について説明します。
減価償却とは、長期間にわたって使用する設備の購入費用を経費として一括計上するのではなく、一定の期間に分配して計上していく会計処理のことです。

減価償却を行うことで得られる最大のメリットは節税効果です。
資産の購入費用を一括ではなく数年にわたって償却することで、購入した年だけではなく、その翌年以降も利益額を抑えることができます。
利益額が減る → 課税対象額が減る → 納付する法人税が減る、という仕組みです。

その他にも、毎年の損益を正しく把握しやすい=事業計画が立てやすくなる、財務状況がよく見える=融資を受ける際に有利になりやすい、などのメリットもあります。

このように減価償却は、企業の運営コスト削減に繋がる大きな鍵となっています。
唯一のデメリットは、会計処理において少々手間が増える点程度です。それを踏まえても積極的に活用する価値があります。

【参考】国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

 

なお、以下の内容すべてに当てはまる場合に、減価償却が可能です。

・使用可能期間が1年以上
・購入金額が10万円以上
・時間の経過とともに価値が下がるもの
・業務で使用するための資産

減価償却できる資産には、以下のようなものがあります。

・建物
・車やバイク、自転車
・電気設備
・冷暖房設備
・パソコン
・ソフトウエア
・家畜
・植物
・商標権
・特許権
・事務用品
・看板 など

ソフトウエアと院内設置型サーバーの組み合わせで使用される「オンプレミス型」の電子カルテは、この中の「ソフトウエア」に該当し、減価償却の対象となります。

【参考】国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

【参考】国税庁|No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5461.htm

耐用年数とは

そもそも、耐用年数という言葉には2つの意味があります。
1. 物理的に対象物を使い続けられる年数
2. 会計上において対象資産を使用できる年数(法定耐用年数)

電子カルテにおける耐用年数とは、このうち後者の『会計上の耐用年数(法定耐用年数)』を指します。
これは減価償却の際に、分割して購入費用を計上できる期間の事です。

法定耐用年数は一律ではなく、対象となる資産の種類ごとにそれぞれに異なる年数が国税庁より定められています。

 

電子カルテの耐用年数とは

では、電子カルテの耐用年数は何年になるのでしょうか?

電子カルテの耐用年数

電子カルテの法定耐用年数は5年間と定められています。

電子カルテを含むソフトウエアの法定耐用年数は、下記のように利用目的によって3年間または5年間と定められています。

・3年:「複写して販売するための原本」または「研究開発用のもの」
・5年:「その他のもの」

【参考】国税庁|No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5461.htm

電子カルテはこのうち「その他のもの」に属するため「5年間」の耐用年数となっており、電子カルテの導入時に減価償却を行うことで、5年間の節税対策ができるということになります。

減価償却のメリットを最大限活かして運営コストを抑えるには、適切なタイミングで新しいシステムに更新・移行する事が重要です。
計画性を持って電子カルテを運用することが求められます。

電子カルテの取得価額の計算方法

「取得価額」とはその名の通り、企業の運営に必要な設備を取得するための費用を指します。

電子カルテの取得価額にはシステムの購入費をはじめ、以下のような費用を含めることができます。

▼電子カルテの取得費 一例
・電子カルテの購入費用/設定費用
・サーバーの購入費用/設定費用
・電子カルテやサーバーの更新・メンテナンス費用
・電子カルテ購入時に必要となった工事費/送料/手数料 など

電子カルテはこの取得価額が10万円以上となった場合に、減価償却の対象となります。
とはいえ、電子カルテは導入コストが高く、特に「オンプレミス型」であれば初期費用だけで一般的に約300万円~500万円程度が必要とされています。

なお、耐用年数が定められている対象物の減価償却においては、毎年の償却額を「定額法」で算出することが一般的です。
定額法とは、取得価額を耐用年数で等分して償却額を算出する方法です。

例)100万円の電子カルテを購入した場合
1,000,000円(取得価額)÷5年(耐用年数)=200,000円(減価償却額)

※一定の掛け率をかけて償却率を算出する「定率法」もありますが、「ソフトウエア」に関しては「定額法」での計算が義務付けられています。

電子カルテ導入に関連する費用を正確に把握し、減価償却を適切に実施することがポイントです。
システムそのもの以外にも、設定費用や手数料なども含められるという事を覚えておきましょう。

電子カルテの更新費用

電子カルテの更新とは、ハードウェアを含めシステムを一新することです。
最新の技術やセキュリティ基準に適合する電子カルテに置き換えることで、医療機関のスムーズな運営維持が叶います。

電子カルテの更新にはどのくらいの費用がかかるのか?費用の相場について解説します。

初期費用と設定費用

電子カルテの更新費用は、システムの規模や機能性、医療機関の規模などによって大きく異なりますが、導入時と同程度の費用負担となるケースが多いです。

電子カルテや周辺機器、設置工事、データ移行などにかかる費用を全て合わせると、安いものであっても80万円程度から、一般的には数百万円程度かかるとされています。

自院内でサーバーを用意して一からシステムを構築していく「オンプレミス型電子カルテ」の場合は、300万円~500万円ほどが更新費用の相場です。
オンプレミスの場合はさらに定期的にサーバーメンテナンスを実施する必要もあり、それらにかかる費用も想定しておく必要があります。

データ移行費用

今使っている電子カルテを異なるメーカーの電子カルテに買い替える場合は、新しいシステムに既存データを移す必要があります。
そのため、データの移行費用などが発生します。

移行可能なデータの範囲に関しては電子カルテメーカーによって異なるため、タイミングや手順、費用と合わせて、移行できるデータの範囲についても事前に確認することが大切です。

同時に、このタイミングでレセコンなどの周辺機器との連携を行う場合も、連携するにあたって設定費用が発生します。

トレーニングとサポート費用

新システムを実際の診療で使う前に、スタッフへ操作方法などのトレーニングを行う必要があります。
その際、電子カルテのベンダー(販売業者)スタッフの訪問サポートを希望する場合、別途費用がかかる可能性があります。
基本的に電話やメールでのサポートを受けられることが多いですが、操作方法に不安がある場合は、トレーニング(訪問サポート)費用等についても見積もり時に確認する必要があります。

また、一般的に下記のようにソフトウエアとハードウェアで導入後のサポート体制や費用が異なる事が多いです。それぞれの内容を確認しておくことが重要です。

例)
・ソフトウエア:サポート費用は電子カルテの月額保守料に含まれる。
・ハードウェア:メーカー保証期間内でのみ無償サポートを受けられる。(補償期間外には別途費用が発生)

ハードウェアについては製造メーカーの保証なのか、延長保証等をオプションで契約するのか、電子カルテメーカーが保証を行うのかによっても費用は異なります。

さらに、レンタルやリースという選択肢もあるため、どれが自院にとって一番費用対効果が見込めそうか、いくつかのパターンを比較検討することが重要です。

クラウド型電子カルテの減価償却

クラウド型電子カルテは、ベンダー(販売業者)のサーバーにアクセスして利用する電子カルテです。
インターネット環境があればどの端末からも利用できるという手軽さや、医院内にサーバーを設置する「オンプレミス型」と比べて導入コストが安いというメリットから、導入する医療機関が増えています。

【クラウド型電子カルテの特徴】
・月額又は年額の利用料が必要
・買い替えが不要(クラウド上で常にバージョンアップが行われている為)
・インターネット接続が必須
・カスタマイズ性に欠ける

クラウド型電子カルテの最大のメリットは、最新のソフトウエアが常に提供され、バージョンアップやセキュリティ対策、機能改善も自動で行われるという点です。

そのため、定期的な更新や買い替えの必要がありません。
今まで電子カルテの耐用年数となる約5年毎に、大きな費用負担や手間が発生していた医療機関にとって非常に大きなメリットと言えます。


クラウド型電子カルテを利用するには、月額または年額の利用料を支払う必要があります。
この費用は減価償却ではなく、1年毎にかかった費用を一括で経費計上していく事となります。
なぜならば、クラウド型はオンプレミス型と異なり常に最新バーションに更新されているため、時間経過で劣化しない=減価償却の対象外となるからです。

※ただしクラウド型電子カルテの導入に関する設定費用や端末購入費に関しては、オンプレミス型同様に減価償却費として処理できる場合もあります。
詳細については税理士などに相談してみることをおすすめします。

耐用年数を過ぎた電子カルテの扱い方

耐用年数が過ぎてしまったからと言って、その日を堺に電子カルテがいきなり使えなくなってしまうということはありません。
また、耐用年数を過ぎた電子カルテを利用することで罰則が科されることもありません。

しかし、耐用年数が過ぎる=メーカーの保守適用外になる、ということでもありメンテナンスが受けられなくなります。
システムに異常が発生した際などは診察に支障をきたす恐れがあるため注意が必要です。

リースで電子カルテを導入している場合も同様に、耐用年数が経過した段階でリース契約を更新するか、新しい電子カルテに乗り換えるかを選択しなければなりません。

高品質な医療サービスを提供し続けるためには、やはり電子カルテの耐用年数の5年を目安に自院の現状やニーズを見直し、最適な電子カルテに更新していくことが求められます。

 

まとめ

電子カルテの耐用年数は5年です。
耐用年数を過ぎた電子カルテを使用し続けると、システムの故障や不具合、セキュリティに問題が発生するリスクが高くなります。

電子カルテは耐用年数の5年を目安にシステムの更新や買い替えが必要です。

安心で安全な医療の提供を続けていくために、さらに減価償却のメリットである節税効果を最大限活かすためにも、計画性を持って電子カルテを運用することが大切です。

 

 

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