COLUMN

2026.01.27

チーム医療とは?メリットや重要性、ポイントを解説

チーム医療とは、医師や看護師、薬剤師、理学療法士など、複数の医療専門職がそれぞれの専門性を生かして協働し、患者一人ひとりに最適な治療やケアを提供する医療のあり方です。

チーム医療の導入により、病状の早期発見や回復促進、重症化予防が期待でき、医療の質や生活の質(QOL)の向上につながります。
医療従事者にとっても、業務分担による効率化や負担軽減、情報共有の促進による医療安全性の向上といったメリットがあります。

一方で、職種間のコミュニケーション不足や認識のズレなど、課題も存在します。

本記事では、チーム医療の基本的な定義やその重要性、さらに、実施することで得られるメリットや知っておくべき課題などを、わかりやすく解説します。
日本の医療を支える重要な取り組み「チーム医療」について、早速見ていきましょう。

チーム医療とは

チーム医療とは、医師・看護師・薬剤師・理学療法士など、複数の医療専門職(メディカルスタッフ)が連携し、患者一人ひとりに最適な治療やケアを提供する医療のあり方です。

各職種がそれぞれの専門性を生かして協働することで、医療従事者の負担を軽減しつつ、より質の高い医療の提供が可能になります。

高齢化の進行や医療の高度化が進む現在、従来のように一つの職種だけで医療を完結させることには限界があり、チーム医療の重要性がますます高まっています。

その中で欠かせないのが、職種間の円滑なコミュニケーションです。
情報共有や連携を通じて、患者の治療目的や状態、生活背景をチーム全体で把握することが、最適な医療につながります。

では、チーム医療の考え方やその意義について、さらに詳しく見ていきましょう。

チーム医療はなぜ必要か?

チーム医療が求められる背景には、医療を取り巻く環境の変化や、医療に求められる役割の拡大があります。

具体的に、チーム医療が必要とされる理由は以下の通りです。


① 医療需給の逼迫に対応するため
日本では少子高齢化が進行しており、高齢者を中心に医療需要の増加が見込まれています。
一方で、医師や看護師などの医療人材は不足傾向にあり、今後は限られた人員で効率的に医療を提供することが求められます。

このような状況に対応するためには、各専門職の強みを生かし、業務を分散して特定の医療スタッフに負担が偏らないように役割を分担しながら連携する体制が必要です。


② 高度で専門的な医療ニーズに対応するため
近年の医療は高度化・専門化が進み、診断や治療、療養支援の内容が複雑化しています。
そのため、一つの職種のみで患者の状態を把握し、適切に対応することは難しいのが現状です。
こうした医療ニーズに対応するためには、多様な専門職が関わり、情報を共有しながら医療を提供するチーム医療の体制が必要とされています。

チーム医療のメリット

チーム医療は、患者と医療従事者の双方にとって多くのメリットをもたらす医療体制です。
チーム医療を正しく実施することで、以下のようなメリットがあります。

医療の質が向上する

チーム医療では、医師・看護師・薬剤師・リハビリ職など、各分野の専門職が連携して一人の患者に関わります。
そのため、疾患や症状を多角的な視点から捉えることができ、複雑な病態にも適切に対応することが可能となります。

これにより、早期発見や回復の促進、重症化予防につながり、医療の質および生活の質(QOL)の向上が期待されます。

医療従事者の負担が軽減される

チーム医療では、患者情報を共有しながら各業務を職種ごとに適切に分担します。

従来は、看護師が服薬管理や栄養指導をすべて担当するケースも多く、特定の職種に負担が偏ることがありました。
チーム医療では、服薬管理を薬剤師が、栄養指導を栄養士が担当することで、看護師の業務の一部を移譲できます。

こうして業務の偏りを減らすことで、医療従事者の精神的・肉体的負担を軽減でき、専門分野に集中しながら長く働ける環境が整います。
また、一人の医療従事者に業務が集中することを防ぐことで、病院全体の効率化も実現可能です。

安全性がより高くなる

チーム医療では、各専門職の知見を活かして判断、チェックができます。
そのため症状の見落としや医療ミスを防止しやすく、医療の安全性が向上するというメリットがあります。
チーム内で密に情報共有を行うことは、安心・安全な医療を提供する上で重要な役割を果たします。

患者の満足度を上げる

チーム医療では、患者の身体的な問題だけでなく、心理面・社会面・生活面も含めた支援が可能となります。

患者や家族の希望や不安を踏まえた医療を提供することで、患者中心のケアが実現し、治療への理解や参加意欲が高まります。
その結果、患者との信頼関係が深まり、満足度の高い医療につながります。

チーム医療に携わる具体的な職種例と役割

ここからは、チーム医療に関わる具体的な職種とその役割について見ていきます。
各専門職は、自身の専門性を活かして助言や支援を行い、チーム内での役割を明確にします。

▼チーム医療に携わる主な職種・役割

職種
チーム医療での役割
医師
・診断、治療方針の決定、治療効果の評価を行う
・患者や家族に対して病状、治療内容の説明を行う
・チームリーダーとして各専門職に指示を出す
⇒多職種が連携できる環境を整備するのはリーダーの役割です。
看護師
チーム医療の要とも言える看護師は、多職種をよく理解していることが大切です。
・患者やその家族のサポート
⇒不安や悩みの聞き取り、医師の説明の補足などを行う

・必要に応じ、専門職への橋渡しや調整を行う
⇒患者の身体的・精神的・社会的・心理的な状況や背景を知っておくことが求められます。
薬剤師
・薬の情報を患者に提供し、効果を発揮できるようサポートする
⇒薬の名前、服用方法、得られる効能、副作用、保管方法など

・医師と協働のもと、処方提案および処方設計を分担する
⇒ 副作用の重篤化回避や、治療に難渋する患者へ対応するため
医療ソーシャルワーカー(MSW)
・患者や家族の「経済的・社会的な」不安、悩みに対しての相談窓口となる。
・病院内外の社会資源を活用できるよう調整、支援を行う。
その他の職種
保健師、管理栄養士、理学療法士・作業療法士・言語療法士、臨床検査技師、臨床工学技士、ケアマネージャー、臨床心理士、医療事務など
⇒患者の状況に応じてチームに参加します。


なお、チーム医療のリーダーは、通常は医師が務めることが多いです。
ただし、看護師(チームナーシングリーダー)やリハビリ専門職など、患者の状態やチームの目的、役割分担に応じて、最適な職種が担当する場合もあります。

チーム医療におけるリーダーとは、状況把握、役割分担、コミュニケーションの促進、メンバーの育成、他部署との連携、問題解決などを担う「まとめ役・調整役」であり、チーム医療を円滑かつ効果的に進めるために不可欠な存在です。

チーム医療これからの課題

チーム医療には多くのメリットがありますが、克服すべき課題も存在します。

チーム医療を効果的に進めるためには、実施する際にどのような課題に対応していく必要があるのか、よく理解しておくことが求められます。

コミュニケーション不足によるトラブルリスク

チーム医療では、コミュニケーションエラーの防止を意識しなくてはなりません。

多職種が連携することで得られるメリットも多いですが、反対に、情報伝達ミスや役割分担の不明確さによる業務漏れのリスクに注意が必要です。

実際に、多職種間の連携ミスを原因とする死亡事故が過去に発生しています。
関わった医療従事者が裁判で過失を認められた事例もあります。

《解決策》
医療スタッフ間の連携を強化するためには、密な情報共有を行うことが重要です。そのため、以下のような対策が求められます。

・定期的なカンファレンスやミーティングを実施し、チームの目標を明確にする。
・電子カルテなど、情報共有ツールを積極的に活用し、伝達モレを防ぐ。
・チーム内における各職種の役割や責任の所在を明確にする。

さらに、患者や家族も医療チームの一員として捉え、治療方針に対する意見や質問を適切に反映させることもポイントです。
これにより患者の安心感を高め、より安全で質の高い医療を提供することが可能となります。

医療従事者不足によるチーム医療の制約

理想的なチーム医療には多分野の専門職が関与することが望まれますが、実際には人材不足により十分な体制を構築できない医療機関も少なくありません。

限られた人員で多くの患者に対応せざるを得ない状況では、チーム医療本来の効果を十分に発揮できず、業務効率や医療の質低下が大きな課題となっています。

《解決策》
この課題を解決するには、タスクシフト・タスクシェアの促進が不可欠です。

タスクシフト・タスクシェアとは、これまで特定の職種が担っていた業務(タスク)を、他の職種へ移管(シフト)したり、複数の職種で共同して担ったり(シェア)する取り組みを指します。

例えば、手術中の器械出し業務を従来のように看護師が担当するのではなく、臨床工学技士が担うなど、年々深刻化する看護師不足への対応としてタスクシェアを導入する医療機関が増えています。

このように、特定の職種に業務負担が集中しないよう役割分担を行うことで、各職種の専門性を生かしながら、病院全体の業務効率の向上が期待できます。

さらに、米国ではすでに一般的な制度として、医師を支援するPA(Physician Assistant)や、一定の裁量権のもと、医師と協働しながら診療行為を行う看護師、いわば医師と看護師の中間的役割を担うNP(Nurse Practitioner)といった職種が活躍しています。

日本においても、こうした新たな職種や役割の拡充を検討することが、今後のチーム医療の発展に向けた重要な課題といえるでしょう。

 

 

まとめ

チーム医療を実践することで、医療の質や安全性の向上など多くのメリットが期待できます。

看護師、薬剤師、理学療法士といった多職種がそれぞれの専門性を生かして協働することで、患者中心の質の高い医療が可能となります。

一方で、職種間のコミュニケーション不足による認識のズレやトラブルといった課題も存在します。
これらを防ぐためには、定期的な話し合いや振り返りを行い、日頃から密な情報共有と円滑な連携を心がけることが重要です。

高齢化の進行や医療の高度化が進む現在において、チーム医療はもはや欠かせない医療の形となっています。
多職種に加え、患者や家族も含めた協働を通じて、今後の日本の医療を支えていく重要な取り組みであるといえるでしょう。

 

※本コラムは一般的な情報提供を目的としており、記載内容が当社製品の機能・仕様を示すものではありません。実際の製品仕様については、製品ページをご確認ください。

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