2026.02.13
療養病棟とは?病床やホスピスとの比較、メリットとデメリットを徹底解説
療養病棟とは、急性期の治療を終えたあとも、継続的な医療や看護、生活支援が必要な患者が長期間入院するための病棟です。
電子カルテを活用するなど医療管理体制を整えながら、一般病棟のように短期間での退院を前提とするのではなく、慢性期の疾患や医療依存度の高い状態に対応しつつ、患者一人ひとりの生活を支える役割を担っています。
近年は高齢化の進行により、療養病棟の重要性がますます高まっており、ホスピス型住宅や緩和ケア病棟といった他の選択肢との違いを正しく理解することが欠かせません。
本記事では、療養病棟の基本的な特徴から、他施設との比較、メリット・デメリット、利用の流れや費用までをわかりやすく解説します。

療養病棟(療養型病院)とは
療養病棟(療養型病院)とは、急性期治療を終えたあとも、継続的な医療や看護が必要な慢性期の患者が長期間入院するための病棟です。
病状が比較的安定している一方で、医療管理やリハビリ、日常生活の支援が欠かせない患者を対象としており、短期入院が前提の一般病棟とは役割が異なります。
なお、「療養型病院」という名称は法律上の正式名称ではなく、療養病床を有する病院や病棟を指す通称として使われています。(現在は医療法上『療養病床』が正式区分)
病床は5種類に分類
日本の病院に設けられている病床は、医療法により次の5つに分類されています。
・ 一般病床
・ 療養病床
・ 精神病床
・ 感染症病床
・ 結核病床
このうち療養病床は、急性期を過ぎた慢性期の医療を担う病床です。
結核や感染症、精神疾患といった特定の疾患を対象とする病床とは異なり、治療の段階や医療の必要度によって、一般病床か療養病床かが選択されます。
一般病床が「治す医療」を中心とするのに対し、療養病床は「支え続ける医療」を担う点が大きな特徴です。
療養病棟へ入院可能な対象者は?
療養病棟に入院するのは、長期的な療養が必要で、医療依存度が一定以上ある患者です。
・ 人工呼吸器の使用
・ 経管栄養
・ 点滴管理
・ 難病や重度の慢性疾患 など
継続した医療管理が欠かせないケースが、療養病棟へ入院する方に該当します。
入院の可否は、主に「医療区分」と呼ばれる指標をもとに判断され、目安として医療区分2または3と判定される患者が中心となります。
一方、医療区分1に該当する場合は、介護施設や在宅医療が選択されることも少なくありません。
また、療養病棟では入院期間が数か月から1年以上に及ぶこともあり、長期入院を前提とした環境やケア体制が整えられています。
療養病棟で配置される職種と人数
療養病棟では、慢性期医療を支えるために多職種によるチーム医療が実践されています。
医師や看護師だけでなく、リハビリ職や栄養管理を担う専門職などが連携し、患者の生活全体を支えます。
主な配置職種は以下のとおりです。
・ 医師
・ 看護師・准看護師
・ 看護補助者
・ 薬剤師
・ 管理栄養士・栄養士
・ 理学療法士・作業療法士
・ 診療放射線技師
・ 医療事務 など
配置人数は、国の基準で定められています。
代表的な基準の一例として、
・医師は、患者おおむね48人に対して1人以上
・看護補助者は、患者4人に対して1人以上
この様に、配置人数の目安は作られています。(※施設基準により異なる)
急性期病棟と比べると医師や看護師の配置はやや少なめですが、その分、介助や生活支援に関わるスタッフの役割が大きい点が特徴です。
療養病棟とホスピス型住宅の異なる点
療養病棟と比較されやすい施設の一つが、ホスピス型住宅です。
両者の大きな違いは、医療を重視するか、生活の場としての快適さを重視するかという点にあります。
療養病棟は病院であるため、24時間体制で医師・看護師による医療提供が可能です。
症状の変化があれば迅速に対応でき、回復を目指した治療やリハビリも継続して行われます。
一方、ホスピス型住宅は「住まい」としての性格が強く、終末期を自分らしく過ごすことに重点が置かれます。
医師の診療は訪問診療が中心となり、日常生活の自由度や家族との時間を大切にできる点が特徴です。
つまり、医療管理の必要性が高い場合は療養病棟、生活の質や自由度を優先したい場合はホスピス型住宅が選ばれる傾向にあります。
療養病棟と緩和ケア病棟の異なる点
緩和ケア病棟も、療養病棟と混同されやすい施設の一つです。
両者の違いは、対象となる患者と医療の目的にあります。
療養病棟は、慢性期の疾患に対して長期間の治療や療養を行うことが目的です。
回復や症状の安定を目指した医療やリハビリが継続されます。
一方、緩和ケア病棟は、主にがんなどの重い疾患を抱える患者を対象に、痛みや不安といった苦痛の軽減に特化した医療を提供します。
入院期間は比較的短く、数週間から1か月程度となるケースが一般的です。
どちらも医療体制は整っていますが、
・ 長期療養・慢性期医療が中心 → 療養病棟
・ 終末期に近い段階での苦痛緩和が中心 → 緩和ケア病棟
という点が、最も大きな違いといえるでしょう。
療養病棟を利用する場合の流れ
療養病棟への入院は、一般的な病院への入院とは異なり、事前準備と調整が必要になります。
基本的な流れを知ることで、スムーズに入院までたどり着くことができます。
それでは、順番に確認していきましょう。
1.療養病棟の見学
療養病棟は長期間の入院になる可能性が高いため、事前の見学が重要です。
病室の環境やスタッフの対応、面会ルールなどを確認することで、入院後の生活を具体的にイメージしやすくなります。
可能であれば、本人だけでなく家族も一緒に見学し、不安や疑問点を解消しておくと安心です。
2.紹介状など、必要書類の準備・提出
入院を希望する場合は、現在かかっている医療機関から「紹介状(診療情報提供書)」を作成してもらいます。
あわせて、看護サマリーや検査データなど、病院ごとに指定された書類を提出します。
これらの情報をもとに、療養病棟側が医療内容やケアの必要性を判断します。
3.受け入れ可能か判断を受ける
提出された書類を確認し、療養病棟の医師が受け入れ可能かどうかを判定します。
医療区分や病状、必要な医療処置の内容によっては、受け入れが難しい場合もあります。
この段階で、入院時期の目安や注意点について説明を受けることが一般的です。
4.病床に空きがあれば入院、なければ待機
受け入れ可能と判断されても、すぐに入院できるとは限りません。
満床の場合は、病床に空きが出るまで待機となります。
空床が確保でき次第、病院から連絡があり、入院日が決定します。
療養病棟への入院にかかる費用
費用は患者の医療区分や年齢、所得状況などによって異なりますが、主に以下の項目が発生します。
・ 入院医療費(診療・看護・リハビリなど)
・ 食事代
・ 居住費(65歳以上の場合)
・ 保険適用外の自己負担費用
医療費の自己負担割合は、原則として1割~3割です。
食事代は定められた基準額があり、居住費は高齢者の場合にのみ発生します。
また、個室利用料やおむつ代、日用品のレンタル費用などは保険適用外となるため、事前に病院ごとの料金設定を確認しておくとよいでしょう。
療養病棟は長期入院になりやすいため、月額でどの程度の費用がかかるのかを把握したうえで検討することが、安心して療養を続けるポイントになります。
療養病棟で働くメリット・デメリット
療養病棟は、急性期病棟とは異なる特徴をもつ病棟です。
ここでは、医療・介護スタッフの視点から見た、療養病棟のメリットとデメリットを整理していきます。
メリット
療養病棟で働く最大の魅力は、患者一人ひとりと長期的に関われる点です。
入院期間が長いため、患者の身体状態や生活背景を深く理解しながら支援できます。
また、急変や緊急対応が比較的少なく、落ち着いた環境で業務に取り組めることもメリットの一つと言えるでしょう。
慢性期医療ならではのケアやリハビリ、看取りに関わる経験を通じて、継続的な医療・生活支援の専門性を身につけることができます。
さらに、医師・看護師・リハビリ職・介護スタッフなどが密に連携するため、チーム医療を実感しやすい職場である点も特徴です。
デメリット
一方で、療養病棟では急性期医療のように、多様な症例や高度な処置を経験する機会は限られてしまいます。
そのため、医療技術の幅を広げたい人にとっては物足りなさを感じることもあるでしょう。
また、患者の多くが日常生活に介助を必要とするため、身体的な負担が大きくなりやすい点も注意が必要です。
長期入院の患者と向き合うなかで、精神的なケアや看取りに伴うストレスを感じる場面もあります。
働く際は、仕事内容だけでなく、自身の価値観やキャリアプランに合っているかを見極めることが大切です。
まとめ
療養病棟は、慢性期の疾患を抱え、長期にわたる医療管理や生活支援が必要な患者のための病棟です。
一般病棟とは異なり、急性期治療後の安定した療養やリハビリを中心に、継続的な医療が提供される点が大きな特徴といえます。
また、ホスピス型住宅や緩和ケア病棟と比較すると、療養病棟は医療体制が充実しており、回復や症状の安定を目指した治療が行われる点で役割が異なります。
一方で、生活の自由度や終末期ケアを重視したい場合には、他の選択肢が適しているケースもあります。
療養病棟への入院は、病状や医療区分、費用面などを総合的に考慮することが、将来の不安を減らしてくれます。
本人や家族が納得したうえで、現在の状態や今後の生活に合った医療・ケアの場を選ぶことが、安心した療養につながっていくでしょう。
※本コラムは一般的な情報提供を目的としており、記載内容が当社製品の機能・仕様を示すものではありません。実際の製品仕様については、製品ページをご確認ください。