2025.07.09
療養病棟と一般病棟の違い、それぞれに合わせた電子カルテの活用方法
療養病棟と一般病棟の違い、それぞれに合わせた電子カルテの活用方法
療養病棟と一般病棟では、患者の病状や治療目的が異なるため、提供するケアや医療体制にも大きな違いがあります。
そうした中で、患者情報の管理と共有方法を最適化するには、電子カルテの効果的な活用が欠かせません。
療養病棟では、主に慢性期の患者に対して、長期にわたる医療ケアや生活支援が行われるため、継続的なケア情報を効率よく管理・評価できる電子カルテシステムが求められます。
一方で、一般病棟では、急性期の患者を対象としていることから、医療スタッフがリアルタイムで情報を共有・更新できる仕組みが不可欠です。
患者の病状に合わせて、チーム全体で迅速かつ的確な対応ができる体制の構築が重要となります。
本記事では、療養病棟と一般病棟の違いを踏まえ、それぞれの現場に最適な電子カルテの活用方法について詳しくご紹介します。
ご自身の医療機関に合った電子カルテシステムの導入・選定にお悩みの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

療養病棟の提供サービス
療養病棟とは、慢性期の患者や日常的に医療ケアを必要とする方を対象に、看護・介護・リハビリテーションなどを行うための「療養病床」を備えた病棟を指します。
療養病床は病床の種類の一つで、以下のように分類されます。
・療養病床
・一般病床
・精神病床
・感染症病床
・結核病床
精神障害、感染症、結核などの特定の疾患を持つ患者は、それぞれ対応する精神病床、感染症病床、結核病床に入院します。
それ以外の患者は、病状や治療の必要性に応じて、一般病床または療養病床へ入院します。
◎療養病棟の提供サービスは?
療養病床を備える療養病棟では、継続的な医療ケアが必要で、在宅生活が困難な患者が入院対象となります。
これらの患者は急性期を過ぎているものの、引き続き医療的なサポートが必要です。
そのため、療養病棟では24時間体制での医療ケアに加えて、生活支援サービスも充実しています。
具体的には、生活の質(QOL)の向上を目的としたリハビリテーションや、食事・排泄・入浴の介助、おむつ交換などが提供され、患者が安心して長期療養できる環境が整えられています。
長期的な医療ケアと生活支援を一体的に提供するためには、ケア情報を効率的に管理・評価できるシステムの導入が求められます。
一般病棟の提供サービス
一般病棟とは、精神病床、感染症病床、結核病床、療養病床以外の「一般病床」を備えた病棟を指します。
病棟内には病気の発見・診断・治療を行うための医療機器、検査室、手術室などの設備や、高度で専門的な医療を提供できる環境が整備されています。
一般病棟では、主に急性期の疾患を抱える患者を受け入れています。
急性期とは、病状が不安定で、急激な悪化が懸念される時期を指します。
例えば、病気の発症直後や手術直後など、集中的な治療や継続的な観察が必要な段階です。
このため、一般病棟では、患者の状態に応じて医師・看護師・コメディカルなどの医療チームが連携し、迅速かつ的確に対応できる体制の構築が求められます。
療養病棟と一般病棟の違い
療養病棟と一般病棟では、入院患者の治療ステージや目的が異なり、そのため提供されるサービスや施設、看護体制、医療費などにも違いがあります。
以下に、主な違いを詳しくまとめました。
治療目的の違い
療養病棟と一般病棟の違いは、「治療の目的」にあります。
・ 療養病棟の目的
療養病棟は、慢性期の患者が心身ともに安心して過ごせるよう、日常的な医療ケアや生活支援を提供することを主な目的としています。
長期的に医療ケアが必要な方が、快適に療養生活を送れるようサポートします。
・ 一般病棟の目的
一般病棟は、急性期の患者の病状をできるだけ早く安定させることを目的としています。
疾患の早期発見、診断、治療を行い、医療チームが一丸となって、患者の早期回復と社会復帰を目指して治療を進めます。
看護体制の違い
療養病棟と一般病棟では、看護体制やスタッフの役割に大きな違いがあります
療養病棟は、慢性期の患者が安心して療養生活を送れるよう支援することが主な目的です。
そのため、看護師や看護補助者が中心となり、患者の日常的なケアや生活支援を提供します。
一方、一般病棟では、患者の病状を早期に安定させることが最優先です。
医師をはじめとする医療チームが集中的に治療を行い、急性期の疾患に対応します。このように各病棟の医師、看護師、看護補助者の人員配置基準は異なり、それぞれの病棟の目的に応じて、役割や配置人数が最適化されています。
▼病床区分別の人員配置標準
| 療養病床 | 一般病床 | |
| 医師 | 48:1 | 16:1 |
| 看護師及び准看護師 | 4:1 | 3:1 |
| 看護補助者 | 4:1 |
入院期間の違い
慢性期の患者は長期にわたる療養が必要なため、療養病棟では入院期間が長期にわたることが一般的です。
治療が終了しても、生活支援やリハビリが引き続き必要となるため、長期間にわたって医療ケアが提供されます。
一方で、一般病棟は急性期の治療が主な目的となり、病状が安定したと判断された段階で、退院や他の病棟への転院が検討されます。
そのため、一般病棟での入院期間は比較的短期となります。
▼ 平均在院日数(病院)
療養病床:約115日
一般病床:約15日
【参考】厚生労働省|病 院 報 告 (令和5年3月分概数)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/byouin/m23/dl/2303kekka.pdf
医療費と費用の違い
療養病床と一般病床の両方とも、医療保険が適用されるため、基本的な治療費や入院費用は医療保険でカバーされます。
さらに、両病床では高額医療制度を利用することができ、月額10万~20万円程度が一般的な医療費の範囲となりますが、患者の状態や施設によって変動します。
そのため、実際の医療費負担額に関しては、療養病床と一般病床の間に大きな違いはありません。
ただ、療養病床は長期間の入院が必要なケースが多いため、医療費の総額は一般病床よりも高くなる傾向にあります。
また、医療費、食費、住居費以外の費用は、医療保険が適用されず、自己負担となる点も両病床に共通しています。
《自己負担となる主な費用》
・消耗品(おむつ、尿取りパッド、病衣代)
・個室代 など
※医療費や自己負担の総額は、患者の病状や入院している施設によって異なります。
上記の金額は目安であり、実際の費用は施設や患者個々の状況に応じて変動します。
↓療養型病院費用の詳細については、以下の記事もぜひ参考にしてください。
【参考】療養型病院とは?入院条件や費用を解説
電子カルテで業務を効率化
療養病棟と一般病棟の主な違いは、患者の病状と治療の目的にあります。
各病棟で求められるケアの種類や医療体制も異なり、それぞれに適した情報管理が求められます。
複雑な患者情報を、漏れなく確実にスタッフ間で共有するためには、医療現場での情報管理やコミュニケーションを効率化するための重要なツールである、電子カルテの活用が不可欠です。
ここからは、療養病棟と一般病棟それぞれにおいてどのように業務を効率化できるのか、電子カルテの活用方法をご紹介します。
療養病棟での電子カルテ活用方法
療養病棟は、主に慢性期患者を対象にした長期的な医療ケアと生活支援を提供しており、看護師、介護スタッフ、リハビリスタッフが連携してケアを行います。
患者は急性期を脱しているものの、引き続き医療的サポートが必要であり、治療経過や日常生活の変化を一貫して管理することが重要です。
電子カルテの導入により、情報をリアルタイムで共有でき、患者ごとの治療記録やケア内容を一元管理することが可能です。
スタッフ間での情報の断絶を防ぎながら、効率的かつ質の高いケアを持続的に提供することができます。
一般病棟での電子カルテ活用方法
一般病棟では急性期患者が多く、病状が急変する可能性が高いため、即応できる体制が求められます。
急性期患者に対しては、迅速で的確な診断と治療が重要であり、医療チーム全員が迅速に情報を共有できる環境が必要です。
電子カルテの導入により、患者の病状や治療内容をリアルタイムで更新し、医師、看護師、薬剤師などの医療スタッフ間での情報共有が円滑になることが期待できます。
これにより、急変時にも迅速かつ適切に対応でき、治療計画の変更などもスムーズに行うことが可能となります。
まとめ
療養病棟と一般病棟の主な違いは、患者の病状と治療の目的にあります。
・ 療養病棟
慢性期の患者や日常的に医療ケアが必要な患者に対し、継続的なケアや生活支援を提供することが目的です。
・ 一般病棟
急性期の患者に対し、病状を迅速に安定させるための治療を行うことが主な目的です。
電子カルテを導入することで、スタッフ間の情報共有が円滑になり、業務効率化が進むだけでなく、患者への医療サービスの質も向上します。
両病棟で求められるケアの内容や医療体制は異なるため、自院の特性や患者層に合わせた電子カルテを選定し、効率的で質の高い病院運営を実現しましょう。