COLUMN

2026.01.27

看護必要度とは?どう変わった?評価基準をわかりやすく解説!

看護必要度(正式名称:重症度、医療・看護必要度)は、医療施設において入院患者の医療・看護の必要性を客観的に評価し、適切な人員配置や診療報酬算定に活用される評価指標です。

看護必要度は、急性期入院医療の必要性に応じた適切な評価を行うという観点から、2年ごとの診療報酬改定に合わせて評価基準や項目が見直されてきました。

そのため、医療従事者や病院管理者は「何がどのように変わったのか」を正しく理解し、現場で適切に運用することが求められます。

本記事では、看護必要度の基本的な評価基準を整理したうえで、2024年度診療報酬改定における主な変更点を中心にわかりやすく解説していきます。

看護必要度とは

看護必要度とは、入院患者がどの程度の看護を必要としているかを客観的に評価するための指標です。

この制度は、平成20年度の診療報酬改定から本格的に運用が開始されたもので、診療報酬の算出や病棟運営に大きく関わる重要な仕組みとなっています。

看護必要度は2年ごとに行われる診療報酬改定に伴って内容が見直されており、2024年度の診療報酬改定の際にも評価項目や基準が大きく変更されています。

最新の評価基準を正しく理解するためにも、まずは看護必要度の基本的な考え方から確認していきましょう。

重症度、医療・看護必要度

看護必要度は、正式には「重症度、医療・看護必要度」と呼ばれる指標です。

入院患者の重症度や看護の必要量を客観的に把握し、適切な看護師配置を行うことを目的として運用されており、評価点数が高いほど、より多くの医療的管理や看護を必要とすることを示します。

入院患者の状態はさまざまで、常時モニタリングや集中的な看護が必要な重症の方もいれば、比較的介入の少ない軽症の方もいます。
看護必要度を正しく評価することで、患者の状態に応じた適切なケアを提供するための人員配置を把握することができます。

さらに、看護必要度は入院基本料(診療報酬)の算定にも直接関わるため、病院経営や運営においても非常に重要な役割を担っています。

看護必要度の評価方法

看護必要度は、急性期入院患者の状態を多角的に評価するため、以下A~C項目ごとの選択肢の判断基準等に従って判断をします。

・ A項目:モニタリングや医療処置などの看護業務
・ B項目:患者さんの日常生活動作(ADL)や介助の必要性
・ C項目:手術や高度な医学的管理などの医学的状況

評価は観察と記録に基づいて行い、推測で行ってはいけません。
また、以下のように、いつ・どこで・誰が評価をするのかについても厳密に定められています。

《いつ》
・ 評価日…原則として毎日評価
・ 評価対象時間…0時から24時までの24時間
⇒外出や検査、手術などで観察できない時間を除いた在棟時間を評価対象とする。
※退院日:当日0時~退院時までが評価対象

《どこで》
・ 評価対象場所…当該病棟内を原則とする
※当該病棟以外で実施した治療・処置・看護・観察…評価対象外
※放射線治療(A項目)・手術等の医学的状況(C項目)…当該医療機関内における治療が評価対象

《誰が》
・ 評価者…院内研修を受けた看護師
※医師や薬剤師、理学療法士などが一部項目の評価を行う場合も、院内研修を受ける必要があります。

看護必要度ⅠとⅡの違い

看護必要度ⅠとⅡとは、「重症度、医療・看護必要度」をどのような方法で評価するかの違いを示す区分です。
評価する内容そのものが違うわけではなく、評価のやり方が異なる点が最大のポイントです。

《看護必要度Ⅰとは》
看護必要度Ⅰは、研修を受けた看護師が、患者さんの状態を直接確認しながら評価する従来の方法です。
これまで多くの病院で採用されてきた、いわば人の判断を中心とした評価方式です。

《看護必要度Ⅱとは》
看護必要度Ⅱは、レセプト電算処理システム(診療報酬請求データ)を用いて評価する方法です。
つまり、「実際に行われた医療行為の記録」から、客観的に評価する方式といえます。

▼ⅠとⅡの違いまとめ

《2024年度改定以降の動き》

2024年度の診療報酬改定以降、急性期一般入院料の届出病棟において許可病床数200床以上の病院では、原則として看護必要度Ⅱによる評価が求められるようになり、看護必要度Ⅱの使用が大きく広がりました。

※ただし、急性期一般入院料1(7対1病棟)は対象外となっています。

この見直しの背景には、看護必要度の評価を、より公平で実態に即したものにしたいという狙いがあります。

Ⅰでは、看護師の判断に依存する部分が多く、評価のばらつきや記録業務の負担が課題とされてきました。
これに対してⅡでは診療実績データをもとに評価を行うため、Ⅰのデメリットを補うことができると考えられています。

今後は看護必要度Ⅱを用いた評価が、急性期医療の現場における標準的な評価方法として定着していくと考えられます。

2024年度 看護必要度の評価基準まとめ

看護必要度の評価基準や方法は、厚生労働省による診療報酬改定で細かく定められており、2年ごとの改定のたびに見直しが行われます。
そのため、医療現場では常に最新の基準を理解しておくことが求められます。

ここからは、2024年度以降の看護必要度について、A・B・C各項目の評価基準を順に確認していきます。

A項目

A項目は、患者さんに実際に行われた医療管理や処置、モニタリングの内容を評価する項目です。
原則、患者さんの状態に応じて毎日評価され、急性期医療における医療的介入の量や内容を反映します。

《2024年度改定での変更点》
近年の医療ひっ迫を受け、急性期病棟では転棟や転院を早めに行う流れが強まっています。

2024年度の改定では、より重症度・緊急度の高い患者さんを短期間の入院で受け入れることを意識して、評価方法が見直されました。

・「救急搬送や緊急入院」の評価日数は、従来の5日から2日に短縮
・注射薬剤3種類以上の管理の評価見直し(急性期医療にふさわしい内容に限定) など

2024年度 看護必要度「A項目」

【引用】厚生労働省|令和6年度診療報酬改定の概要より
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251533.pdf

 

B項目

B項目は、患者さんの日常生活動作(ADL)や介助の必要性など、患者さんの生活面の状態を7項目で評価する項目です。

《2024年度改定での変更点》
2024年度の診療報酬改定により、7対1病棟(急性期一般入院料1)ではB項目が評価対象から除外されました。

これまでB項目については現場から以下のように様々な意見があり、長年議論が続いてきました。
・急性期医療より介護的な評価に近く、適切ではないのではないか
・急性期看護の手間や術後の活動制限を評価するために必要 など

今回の改定は、こうした議論を踏まえ、7対1病棟を急性期医療により特化させるという方針に沿ったものです。

とはいえ今後もB項目はなくなるわけではありません。
10対1病棟(急性期一般入院料2~5)では引き続きB項目を評価し、7対1病棟でも「測定」は継続(評価は行わない)します。

▼2024年度 看護必要度「B項目」

【引用】日本看護協会|ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票
https://www.jnapc.co.jp/html/upload/save_image/00277300.pdf

 

C項目

C項目は、手術や高度な医学的管理など、患者さんの医学的な状況を評価する項目です。

《2024年度改定での変更点》
・ほとんどの項目で評価日数が1~2日短縮
・短期滞在手術等基本料3等の一部検査・処置も新たに評価対象に追加

これにより、C項目はより短期間での医学的リスクや処置の必要性を反映する評価項目となりました。

▼2024年度 看護必要度「C項目」

看護必要度の効果的な評価のためのポイント

看護必要度は、患者の重症度や看護業務量を正しく把握し、適切な看護配置や入院料を維持するための重要な指標です。
そのため、評価漏れや実態の反映漏れがあってはなりません。

ここからは、看護必要度を効果的に評価し、評価精度を向上させるために押さえておきたいポイントをご紹介します。


【ポイント①】反映漏れが起こりやすい場面を知る
まず重要なのは、どのような場面で反映漏れが起こりやすいのかを把握しておくことです。

以下のような状況では、情報共有が不十分となり、看護必要度が実態を正しく反映できていないケースが見受けられます。

・ 看護師不在時に医師が処置・検査を実施し、その内容が評価に反映されていない
・ 前日の評価をそのまま反映し、必要な修正が行われていない
・ 夜勤帯に新たな処置や医療機器の使用が開始されたが、評価に反映されていない

このような反映漏れは、実際の看護業務量と評価結果の乖離につながるため、注意が必要です。

【ポイント②】多職種で情報を共有し、確認する仕組みをつくる

看護必要度の評価は現場の看護師が実施する業務ですが、看護師の努力だけで病院内のすべての情報を把握しきることは、現実的に困難です。

看護必要度の評価精度を向上させるためには、多職種間で「看護必要度は共有すべき情報である」という共通認識を持ち、日頃から病院全体で連携し、声かけや報告を徹底することが重要です。

評価漏れを防ぐ仕組みづくりを行い、正確な評価につなげていきましょう。

【看護師】
・ 前日評価の自動反映機能を使用する場合でも、修正漏れが起こりやすいことを意識する
・ 自身が直接関与していないケア(清潔ケア、搬送、急な指示対応など)は特に注意する
・ 看護記録記載後に評価内容を見直す習慣を設ける
・ 急な処置・イベント前後は、記録の修正が必要になる可能性を意識する
・ リーダー看護師などによるダブルチェックを取り入れる


【医師】
・ 医師単独で実施した処置・検査は、必ず看護師へ報告することを徹底する
・ 外来・手術前後は勤務交代の時間帯で把握されにくいため特に注意する


【理学療法士】
・ 体位ドレナージ、スクウィージングは看護必要度の評価対象となることを意識する
⇒実施時は、担当看護師へ一声かけることで反映漏れ防止につながる


【医事課】
・ 看護必要度Ⅰの評価結果とEFファイルに大きな乖離がある場合は、看護部と連携して原因を確認する
・ オーダリングシステム・カルテ上の実施漏れや記録不備が評価に大きく影響することを意識する
⇒「記録はあるが実施されていない項目」について看護部と情報共有を行う

診療報酬改定と看護必要度

ここからは、最新の診療報酬改定における看護必要度への影響について整理します。

日本では診療報酬が2年ごとに改定され、その都度、医療提供体制や評価方法の見直しが行われています。

看護必要度(重症度、医療・看護必要度)についても、診療報酬改定のたびに評価方法や要件が変更されており、医療現場への影響は少なくありません。

看護必要度を正しく評価するためには、研修などを通じて常に最新の制度内容を理解し、知識を継続的にアップデートしていくことが重要です。

最新の診療報酬改定の動向

令和6年度(2024年度)診療報酬改定においても、看護必要度は重要なテーマとして見直しが行われました。
なかでも最大の変更点は、7対1病棟(急性期一般入院料1)において、看護必要度の「B項目」が評価対象から除外されたことです。

これにより、これまで多くの7対1病棟で活用されてきた「A項目2点以上かつB項目3点以上」という評価基準は廃止され、「看護必要度を満たす患者」の考え方そのものが大きく変わりました。

急性期病棟では、入院患者のうち一定割合以上が看護必要度を満たしていることが施設基準として求められており、基準を下回ると入院料が減算されます。
B項目の廃止により、従来の評価方法では基準達成が難しくなる病棟も少なくありません。

また、C項目(手術等)についても、対象手術の見直しや評価日数の短縮が行われました。

加えて、10対1を含む急性期病棟全体で患者割合の基準も変更されており「看護必要度を満たす患者」の割合は、全体として減少傾向にあると考えられます。

看護必要度への影響

2024年度診療報酬改定では、「手厚い医療・看護が必要な患者かどうか」をより的確に見極めるため、看護必要度の判定が一層厳格なものとなりました。

この改定により、急性期病棟本来の役割が明確化され、医療現場の負担軽減につながるといった前向きな評価がある一方で、病院経営への影響を懸念する声も多く聞かれます。


特に内科系患者が多い7対1病棟では、看護必要度を満たす患者割合の確保が課題となっており、以下のような対応が検討されています。

・ C項目に該当しやすい手術患者の受け入れ増
・ リハビリ・栄養・口腔連携体制加算などの活用

さらに、2026年度改定に向けては、看護必要度データを活用した実態に即した評価や、効率的・効果的な医療体制の構築が求められる見込みです。

少子高齢化や医療従事者不足の中で、病院が地域で不可欠な存在であり続けるためには、内科系重症患者への評価見直しや、医療DXに基づく人員配置基準の検討など、現場の働き方や病院経営に直結する議論が今後さらに重要になると考えられます。

 

 

まとめ

看護必要度は、入院中の患者がどの程度の医療・看護を必要としているかを客観的に示す指標です。

評価は、A・B・C項目を基本として構成されており、点数が高いほど、より手厚い医療・看護が必要な状態であることを示します。
この評価結果は、適切な看護師配置や入院料の算定に直結するため、正確かつ公平に行うことが求められます。

2024年度の診療報酬改定では、評価項目や基準が大きく見直され、「本当に急性期で手厚い医療・看護が必要な患者」をより的確に評価する方向へと変更されました。

今後は、診療実績データを活用するⅡ型評価の活用がさらに進み、看護必要度の運用においても、病院全体の業務効率化や医療の質の向上につながることが期待されます。

患者と医療スタッフの双方にとってより良い医療体制を実現するためにも、看護必要度を正しく理解し、現場で適切に運用していくことが重要です。

※本コラムは一般的な情報提供を目的としており、記載内容が当社製品の機能・仕様を示すものではありません。実際の製品仕様については、製品ページをご確認ください。

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