2025.02.06
電子カルテ情報共有サービスのメリットと導入方法|ウェブカルテ
電子カルテ情報共有サービスのメリットと導入方法について詳しく解説します。
電子カルテ情報共有サービスは、全国の医療機関や薬局などで電子カルテの情報や紹介状、健診結果などのデータを共有し、有効活用するための仕組みです。
本サービスは「医療DX令和ビジョン2030」の三本柱の1つ、「全国医療情報プラットフォーム」を支える重要な仕組みです。
電子カルテ情報共有サービスの導入にあたり、標準規格「HL7 FHIR」に準拠したデータを医療機関等システムと電子カルテ情報共有サービス間で送受信できる環境を整えなくてはなりません。
具体的にはどのような準備が必要なのか?医療機関向けに必見の情報をお届けします。

電子カルテ情報共有サービスとは
電子カルテ情報共有サービスとは、全国の医療機関や薬局で患者の電⼦カルテ情報を共有し、効果的に活用するための仕組みです。
このサービスは、政府が推進する「医療DX令和ビジョン2030」の三本柱の1つである「全国医療情報プラットフォーム」を支える重要な役割を果たします。
2025年にはモデル事業が開始されることが予定されており、各関係機関では電子カルテ情報共有サービスに接続するための環境整備が急務となっています。
電子カルテ情報共有サービスの主なサービス内容
電子カルテ情報共有サービスでは、大きく分けて以下の3つのサービスが提供されます。
① 紹介状送付サービス
紹介元の医療機関が登録した診療情報提供書(紹介状)・退院時サマリーを、紹介先の医療機関等が電子的に取得できるサービスです。
従来では紙・FAXで発行、送付していたものを電子化することで作業の効率化ができます。
・郵送の手間を省ける
・医療機関同士が共通のフォーマットで情報共有できる
・紙媒体と比較して漏洩のリスクが低く、安全な文書管理が叶う
・患者の紹介状持参忘れを防止できる
② 健診文書閲覧サービス
各種健診結果を実施主体(医療保険者)及び全国の医療機関等や本人等がオンライン上で閲覧できるサービスです。
特定健診や事業者健診の結果を迅速・確実に取得することができ、質の高い安全な医療の提供が可能となります。
日常診療はもちろんのこと、緊急時や災害時、転院先などにおいてはそのメリットがより活かされると考えられます。
③ 6情報閲覧サービス
患者の6情報(傷病名・アレルギー・薬剤禁忌・感染症・検査・処方)を、全国の医療機関等や本人等がオンライン上で閲覧できるサービスです。
問診や患者の申告よりも正確な情報を得られ、救急時に利用できる情報の拡大や質の高い診療などへの活用が可能となります。
電子カルテ情報共有サービスのメリット・デメリット
電子カルテ情報共有サービスを活用することで具体的にどのようなメリットが得られるのか?
医療機関側、患者側、医療保険者それぞれの立場におけるメリットを解説します。
同時に、想定されるデメリットについても確認しておきましょう。
医療機関におけるメリット
● 患者の傷病名や検査結果等を把握できるようになり、在宅医療・薬局・訪問看護等との連携強化が叶います。
日常的な診療だけでなく緊急時や災害時を含めて、患者の医療情報を基にしたより良い医療サービスの提供が実現できます。
● 医療機関等の事務コスト削減効果が期待できます。
・診療情報提供書の電子的共有による事務コスト減
・6情報の共有による問診等の効率化
患者におけるメリット
● 全国の医療機関で自身の医療情報(傷病名や検査結果、薬剤アレルギーに関する情報等)を踏まえた、
質の高い安全な医療を受けることができます。
特に災害時緊急時、転院先などでの活用に期待が持てます。
● 外来での待ち時間が減るなど、より効率的な受診が叶います。
紙文書の作成、交付に関する時間を大幅に減らせます。
文書受け取りのためだけに医療機関を再訪する手間を削減できます。
● 自身の健康状態を把握・管理しやすくなります。
高齢化が進む日本では、健康寿命を延ばして医療費の増大を防ぐことが重要です。
患者自らが健診結果を迅速に確認できることで、自身の健康管理や疾病予防に役立つと考えられます。
健診結果を書類で保管・持参する必要がなくなるため、医療機関を受診する際にも便利です。
医療保険者におけるメリット
● 全国の医療機関等で3文書・6情報が共有されることで、より効率的な医療提供体制を構築できます。
● 特定健診や事業者健診の結果を電子データで迅速・確実に取得できるため、従来と比較して、より速やかな保健指導や受診勧奨が可能となります。
● 健診結果を保険者で電子化する手間が削減されます。
● 電子カルテ情報共有サービスで収集する収集データの二次利用により、医療・介護サービスの費用対効果や質の評価に関する精緻な分析が可能です。
デメリット
医療機関にとって、電子カルテ運用に伴う「コスト負担」は、電子カルテ情報共有サービスの大きなデメリットと言えます。
電子カルテ情報共有サービスをはじめとする医療DXのメリットは、すべての医療機関等が参加し、すべての患者情報が登録されることで真価を発揮します。
しかし、医療機関の経営状況は年々厳しさを増しており、電子カルテの導入や改修費を捻出することが難しいケースも少なくありません。
これらの問題を解決することが、医療DXの実現に向けて今後の重要な課題となります。
電子カルテ情報共有サービスの導入方法
電子カルテ情報共有サービスの本格運用に向けて何を準備すべきか?電子カルテ情報共有サービスの導入方法を解説します。
標準型電子カルテの採用
電子カルテ情報共有サービスを利用するには、将来的にすべての医療機関で国際標準規格「HL7 FHIR」を満たした電子カルテが必要となります。
◎国際標準規格「HL7 FHIR」とは?
国際的な医療標準化団体であるHL7協会(Health Level Seven International)によって策定された医療情報交換のための標準規約です。
医療情報の共有と相互運用のための「次世代標準フレームワーク」として注目されています。
FHIRは「Fast Healthcare Interoperability Resources」の略で、Web技術を用いて医療情報をやり取りする仕組みを意味します。
現在、電子カルテのフォーマットは医療機関ごとに異なるため、異なるシステム間でのデータのやり取りが困難な状態となっています。
せっかく得られた患者データが他施設のシステムに反映されず、うまく活用しきれていないままになっているのが現状です。
そこで今後は、円滑な情報共有を可能にするために、国内の医療機関すべての電子カルテのフォーマットを国際標準規格「HL7 FHIR」に統一することが政府によって推奨されています。
各医療機関は電子カルテ情報共有サービスの本格運用に向けて、まずは国際標準規格「HL7 FHIR」を満たす電子カルテの導入及び、規格を満たすシステムとなるよう既存の電子カルテシステムの機能追加・改修が必要です。
補助金によるシステム導入支援
電子カルテの導入やシステム標準化に向けて改修を行う際は、補助金制度を活用しましょう。
ここでは電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金制度をご紹介します。
※適宜内容が更新される可能性があります。申請を行う際は最新の交付規程や公募要領等を公式HPより確認してください。
「電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金」
電子カルテ情報共有サービスに接続することを条件に、病院(20床以上)の電子カルテ導入時に利用できる補助金制度です。
《補助対象項目》
● 電子カルテシステム等に下記の機能を導入する際のシステム改修費用(作業費含む)
・6情報および各文書をFHIRに基づいた形式に変換する機能
・医療機関システムと電子カルテ情報共有サービス間で電子的に送受信する機能
※医療機関システムとは?
電子カルテ、レセコン/医事会計システム、文書作成システム、 地域連携システム、検査システム、健診システム等の総称。
● 健診部門システムと電子カルテシステムの連携費用(健診部門システム導入済の医療機関の場合)
《申請期間》
2031年(令和13年)3月31日までに電子カルテ情報共有サービスの導入を完了した上で、2031年(令和13年)9月30日までに申請することで補助金交付の対象となります。

【参考】医療機関等向け総合ポータルサイト|電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金
https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0010765#item19
まとめ
電子カルテ情報共有サービスとは、全国の医療機関や薬局などで電子カルテの情報や紹介状、健診結果などのデータを共有し、有効活用するための仕組みです。
サービスが本格稼働するようになれば、ペーパーレス化が進んで事務作業の大幅な効率化ができるほか、人手不足が深刻化する医療現場の負担軽減も期待できます。
緊急時や災害時などにおいても必要な情報を即座に把握でき、医師・患者どちらにとっても安全で質の高い医療提供体制を構築します。
現在、電⼦カルテ情報共有サービスは2025年度中にモデル事業の開始が予定されている段階です。
本格稼働に向け、将来的には全医療機関において国際標準規格「HL7 FHIR」を満たした電子カルテの導入が必要となります。
政府の目標とする「2030年度」までを目処に、補助金制度を活用しながら早めに電子カルテの導入を進めていきましょう。
